妊娠中は、誰しも「予定日まで無事に赤ちゃんをお腹の中で育てたい」と願うもの。しかし、私の場合、その願いは叶いませんでした。
妊娠30週、突然の帝王切開——。
NICU・GCUを経て、現在は元気に成長しているわが子ですが、その誕生は決して順風満帆ではありませんでした。
今回は、そんな出産当日のリアルな体験を記録として残したいと思います。
突然の決断「明日か明後日には出産しましょう」
入院生活を送る中で、お腹の赤ちゃんの状態を毎日モニターしていました。

「もう少しお腹の中で育てたい」という思いはありましたが、担当の先生からの言葉は思いがけないものでした。
「血液、胎盤、羊水がだんだん弱ってきています。小児科医とも相談した、明日か明後日には出産しましょう。」
30週での出産。頭の中が真っ白になりました。
「そんなに早く?」「本当に大丈夫なの?」と、不安と戸惑いでいっぱいになりましたが、先生が慎重に診てくれた上での決断なら、信じるしかありませんでした。
「今日、赤ちゃんと過ごせる最後の時間かもしれない」
そう思い、お腹に手を当てながら、わが子との最後の一体の時間を大切にしました。
緊急手術が決定!心拍の低下と、母としての決断
翌日を迎える前に、事態は急変しました。
「赤ちゃんの心拍が落ちています。母子共にギリギリな状況です。今日の夜、緊急帝王切開にしましょう。」
まさか、こんなに急に手術が決まるなんて…。
でも、迷っている暇はありませんでした。
わが子の命を守るためには、今すぐにでも生まれてもらう必要がある。
そう決意し、看護師さんに手伝ってもらいながら手術着に着替えました。
病室からストレッチャーで手術室へ向かう途中、担当の助産師さんが私の手を握り、優しく声をかけてくれました。
「大丈夫ですよ。赤ちゃん、元気だから。手術が終わったら、また会えますからね。」
その言葉に、思わず涙がこぼれました。
手術室では、横向きの体勢で背中に麻酔を打ち、すぐに下半身の感覚がなくなっていきました。
「先生、もう切ってますか?」
「もう出てくるよ!」
執刀の先生と看護師さんのやりとりが聞こえる中、
「おめでとうございます!」
という声とともに、赤ちゃんが誕生しました。
事前に「泣き声は聞けないかもしれません」と言われていたので、どんな状態で生まれてくるか心配でしたが、先生から「少し泣きましたよ」と教えてもらい、ホッとしました。
その後、保育器に入ったわが子が、私の横に運ばれてきました。
小さな小さな足をぐいっと伸ばしていて、「生きよう」とする力強さを感じました。
「泣き声は聞こえなかったけれど、この子は確かに生きている」
そう思ったら、心の底から愛おしさが込み上げてきました。
「私の赤ちゃん。可愛い。守らなきゃ。」
あれだけ不安だったのに、この瞬間、すべての迷いや怖さが吹き飛びました。
「この子のためなら、どんなことも頑張れる。」
まさか、自分がこんな気持ちになるなんて——。
自分の命よりも大切な存在が生まれた瞬間でした。

「頑張って歩行練習して、明日会いに行くからね!」
そう心の中で誓いながら、NICUの先生にわが子を託しました。
術後、突然の体調急変…深夜の緊急対応
無事に手術を終え、病室に戻ってきたものの、
時間が経つにつれて急に気持ち悪くなってきました。
「なんだか、変…?」
嫌な予感がしてナースコールを押した次の瞬間、心臓がドクンと跳ね、胸が苦しくなりました。
看護師さんたちが駆けつけた途端、我慢できずに嘔吐——。
それも一度では終わらず、3回、4回、5回と止まらない。
自分の体にも吐瀉物がかかり、どうすることもできず、ただ必死に耐えるしかありませんでした。
「先生を呼んでください!」
看護師さんの声が遠くで聞こえたかと思うと、
すぐに医師が駆けつけ、ベッドと私の間に板のようなものを差し込み、天井からレントゲンのような機器で診察が始まりました。
動けない。気持ち悪い。痛い。
全身の力が抜けて、意識が遠のいていくのを感じました。

気がつくと、酸素マスクを装着されていました。
呼吸が浅くなっていたのかもしれません。
朝まで眠れないまま、ただ天井を見つめて過ごしました。
まとめ:30週での帝王切開を乗り越えて
振り返ると、妊娠30週での突然の帝王切開は、まさに人生の大きな転機でした。
✔ 予定外の早産で戸惑ったけれど、医師の判断を信じた
✔ 出産当日は不安もあったけれど、助産師さんや医療スタッフの支えが大きかった
✔ 小さく生まれたわが子は、その後NICUで頑張り、今は元気に成長中!
そして、何よりも——
「私の命よりも大切な存在が生まれた」
あの瞬間の感動は、これから先、どれだけ時間が経っても忘れないと思います。
もし、これを読んでいる方の中に、早産の不安を抱えている方がいたら——
「大丈夫。小さく生まれても、赤ちゃんは頑張ってくれます。」
そして、周りのサポートを頼りながら、お母さんも少しずつ前を向いていけますように。
私の出産体験が、誰かの励みになれば嬉しいです!